いまある問題、そしてこれから来る問題を解決するための一手。見てきました。
道を行けば、飲料や食品だけではなく日用品に嗜好品まで、多くの品をフラッと購入できるコンビニが多く存在する日本。いわゆる繁華街だけではありません。人口密度の低い場所を移動しているときも、街中に入ったときや、国道沿いであれば大体見つかる。「翼よ! あれが巴里の灯だ」とばかりに、コンビニの看板を指さしてみたことありませんか。
2017年5月度のJFAコンビニエンスストア統計調査月報を見ると、日本全国のコンビニ店舗数は5万4999店となっています。前年同月と比較して店舗数も売り上げも来店客数も客単価もまだ伸びている。人口が減っていく日本だからこそコンビニの価値をより高めようと、コンビニ各社はガソリンスタンドや薬局とタッグを組んだりして事業領域を拡張していっているのでしょう。
それにともない、人手不足の問題が露わになってきました。レジだけではありません。商品の補充と返品、惣菜機器やコーヒー機器のメンテナンス、什器の洗浄。働く人が少ないからこそ、1人にかかる負担が大きくなっているのが現状です。
2016年12月12日。ローソンはパナソニックの協力を得て、大阪府守口市「ローソンパナソニック前店」で業界初の完全自動セルフレジ機「レジロボ」の実証実験を開始しました。当初はお客が商品のバーコードを読み取り機にかざしていたそうですが、2017年2月にはカゴに入った商品を数秒で全量検知できる電子タグ(RFID)システムを導入。袋詰めも自動で行ってくれるし、支払いはクレジットカードが使えます。
コンビニで働く人にとっては、レジの作業を低減できる。お客にとっても(慣れた人が増えれば)支払いのために並ぶ時間が短くなる。Win-Winです。
電子マネー&スマホアプリを生かした上海ローソンのNewレジシステム
と思っていたら、他にも新しいレジのシステムを実験中なんですってローソン。今回、ローソン研究所のほうから「オジ旅で見てきてー」とご依頼があったので、僕たち。旅立ちました。上海に。
シムシティのように、色とりどり、カタチも様々なビルが立ち並ぶ上海。中国における国家中心都市の1つであり、この国の勢いを学ぶのに適した街といえます。
●オジさんが上海に到着!
●リニアモーターカー♪で上海市内にレツゴー
●浦東空港から上海の市内に向けてリニアモーターカーで
●ただいま、300㎞/hで移動中。
アップルストアなどもお客が多い! 中国には多くのスマートフォンメーカーがあり、様々な価格帯でしのぎを削っていると聞きましたが、ハイエンドの市場も活発なんですね。
閑話休題。我らがやってきたのはオフィス街にあるローソン店舗です。
中国一の大都市、上海。電脳化も進んでおり、スマートフォンの普及率も高めです。そして電子決済の普及率も高くなっています。
ゆえにスマートフォン&電子決済を活用したタクシー配車サービスや、乗り捨てOKなレンタサイクルビジネスが加速しています。
●上海のUber的サービス「ディディダーチャー」
●アップルが出資したタクシー配車アプリ「滴滴打車」
●上海で「モバイク」体験
●上海のモバイクかっこいー。これ乗りたくなる
電子決済インフラが整っているという土壌を生かし、上海ローソンは電子決済を活用したスマートレジシステムを実験中です。
1.買いたい商品を手に取ったら、専用アプリで商品のバーコードを読み取ります。明るい店内で、読み取りに時間がかかるということはありません。
2.アプリ画面に商品名と価格が表示されます。1つだけ購入するならそのまま緑のバーをタップ。複数個購入する場合は「+」マークをタップして数を指定します。他にも購入したい商品があるならば、続けてバーコードを読み取ります。
3.合計金額が表示されたら決済方法(システム)を選択します。
とはいってもまだ作業は必要です。購入した品と決済内容を店員さんに確認してもらう必要があります。
アプリに表示されたバーコードを、店員さんのいるレジで読み取ってもらい、購入内容を確認してもらいます。
この決済システムのメリットは、導入しやすさでしょう。上海ローソンのシステムは、中国で普及している電子決済アカウントを持っている人に専用アプリを案内するだけで、カウンターレジでの手間とかかる時間を省くことができます。
カウンターレジをまるごと改造しなければいけない完全自動セルフレジ機「レジロボ」の未来も待ち遠しいですが、上海ローソンのシステムも、店員さんの負担を減らしてくれるもの。なお上海ローソンでは、アプリで事前に商品をカウント&決済した人専用の、確認用レジレーンを作ることも検討しているそうです。いわばファストパスなレーンですね。
●上海のローソンでスマホ決済の未来を見る!
●日本にも根付いてほしい。革命を起こしそうな上海ローソンのアプリ決済システム
中国における電子決済には様々なものがあります。上海ローソンのアプリは支付宝(Alipay)、WeChat Payなどに対応しています。サービスごとのアプリではなく、ローソンアプリで異なる電子決済を使い分けられるのは面倒がないですね。
アプリを使ったキャンペーン用ポイント登録システムも
折しも取材時は、日本発のゲーム&アニメ&舞台&ミュージカル「刀剣乱舞」のコラボキャンペーンを実施中でした。
コラボ商品の販売だけではなく、キャンペーン対象商品を購入するともらえるポイントを貯めると特別グッズがもらえるというものでしたが、どのようにしてポイントを加算・記録しているのでしょうか。
1.これがアプリなのでした。キャンペーン対象商品をアプリを使って決済します。
2.ポイントが貯まると無料でもらえるグッズの画面が表示されるので、カウンターレジで店員さんに確認してもらいます。
3.これで、無事に限定グッズをゲットです。
●花輪くん
●店の中も外も刀剣乱舞だらけなローソン湖南路店
●ローソンと刀剣乱舞のコラボ店舗
●ローソンが進出して上海におにぎりとおでんが定着した話
ところで「刀剣乱舞」の他にも、「深夜食堂」とのコラボも進めており、僕らのローソンはさすがですよね!
●火鍋と居酒屋とスペアリブとザリガニと
●とうらぶだけじゃない。「深夜食堂」もローソンとコラボ
そして来る、無人コンビニがある優しい世界
今回のオジ旅は上海ローソンのチャレンジを見る旅でした。しかし上海では、他社も次世代のコンビニの姿を占う業態にチャレンジしていました。
その1つが、フランス資本のハイパーマーケット・欧尚(オーシャン)の駐車場にある無人コンビニ「Bingo Box」です。
コンテナサイズの店舗は無人。鍵がかかっているドアを開けるには専用アプリが必要で、事前にユーザー登録と各種電子決済との連携が必要です。
各商品には完全自動セルフレジ機「レジロボ」のように電子タグ(RFID)がとりつけられており、レジ台で電子タグを判別して購入金額を算出。電子決済で支払います。
ドアを開ける段階で無人コンビニというサービスにログイン。アカウントが認証されているから、もしも決済を行わなかったり、店内で悪いことをしたとしても、そのアカウントや電子決済サービス側のアカウント凍結などで対応するのでしょうか。
フランチャイズな店舗が大多数のコンビニ。脱サラしてチャレンジする経営者も多いとききます。しかし場所によってはアルバイトが見つからず、家族総出で店舗運営をするケースも。人口が減り、東京一極集中が進む日本において、働き手が見つからないという傾向は加速しそうな気がしてなりません。
開業はできるし、周囲の住民もコンビニのオープンを待ち望んでいる。
といったシチュエーションにおいて、無人コンビニシステムの需要は大きいのではないでしょうか。
日本で電子決済をどのように普及させるか、万引きや店内での飲食といった事態への対処法など、解決すべき問題は多々あるでしょう。けれども。
けれども。
ITの力でコンビニがより使いやすくなり、経営側にとってもラクになるというのであれば、その世界を全力でウェルカムしたいですね。だっていまの僕らの生活において、コンビニのお世話になりまくりじゃないですか。