今回のオジ旅は、新千歳空港から陸別町まで、日産からレンタカーでサポートして頂きました。4月から配備予定のノートe-POWERを先行でお貸しいただき、人気の電気自動車で約600キロを走破した訳ですが、目的地の陸別町には日産の陸別試験場があったのです!!
こちらも可能なら見学させて貰えないでしょうか‥‥ダメ元でお願いしたところ、特別に1時間だけテストコースを実際に走り(もちろん運転は試験場の方)、普段は撮影する機会がないというコースに立ってノートe-POWERが疾走する様子を写真に収めることができました。
そもそも、なぜ陸別町に日産試験場を作ったのか?
そには、陸別町の安定した寒さがあったそうです。陸別町は日本で一番寒い町として知られます。かといって、札幌などと比べると雪がドカドカ降るわけではなく、この安定した寒さと、コース整備のしやすさから、陸別町が試験場の地として選ばれました。
完全に同じ状態にすることは難しいですが、できるだけコースの状態を同じにすべく、除雪をはじめとしたコース整備が行われているそうです。陸別試験場の方に「もうすぐ暖かくなりますね」という話をしたところ「試験場としてはまだまだ寒いままでいて欲しい」との言葉が印象的でした。
春から秋にかけてのテスト回数より、冬の短い期間の方がテスト回数が多いというのが、この陸別試験場の重要さを物語っているのではないかと思います。
大きくわけると陸別試験場には高速コースとカントリーロードがあります。ノートe-POWERが気持ちよさそうに走っているのは高速コースです。まず最初に1986年に陸別試験場が開設、カントリーロードとダートサーキットが完成し、その約10年後に高速コースが完成しました。
高速コースはドイツのアウトバーンをモデルにしており、高速走行のため案内表示も日本より大きく、さらにはドイツ語で表示がされています。右側通行の右回りなんですよ、アウトバーンだから。
高速コースでは、時速300キロを超えるテストも行われます。GT-Rですね。日産では時速250km以上の高速テストができるドライバーは5人しかいないそうです(走行可能速度により資格試験があります)。そして、速度の差こそあれ、日産から発売されるクルマはすべて、この陸別試験場でテストが行われます。
これは雪道を登坂するコースです。10パーセント、15パーセント、20パーセントの斜度があり、ここは20パーセントです。スキーのコースのようでした。
この雪の坂道のテストができる、これこそが陸別試験場なのですね!
半分、凍った坂路もあります。自分たちで北海道を走ってみて分かったのですが、このように道路が半分だけ雪に隠れている、凍っているような場所は少なくないのです。そのテストのために、このような凍ったコースも設けられている訳です。
ツルツルの路面ですが、ノートe-POWERはうまいことトラクションコントロールして登っていきます。陸別試験場の方の話だと、こういう急な坂道の凍った路面は、小樽に多いのだとか。
この坂道に一定の厚みで氷を作るのも大変な作業だと思いますよ!
他にも凍った路面のコースも、体験させて頂きました。時速10キロからの急ブレーキ。10キロですよ、わずか10キロなのに、全くクルマは止まりません。スタッドレスタイヤでツルツルに磨かれた深夜の札幌の交差点などでこうなると伺いましたが、完全にアンコントローラブルになる怖さを知りました。ここで、できるだけクルマが止まれるようなテストが行われているのですね。
陸別試験場の中には近隣の町の取水地があり、とてもキレイな水が湧き出しているため、それを取水して陸別町がペットボトルに詰めて販売してるという話も伺いました。そんな自然豊かな場所に、日産の陸別試験場はあります。
通常は見学を受け付けていない陸別試験場は、コースへの出入りも厳密に管理され、もちろん部外者は立ち入ることができませんし、テスト中に何かがあれば自前のレスキュー隊が出動するような体制も整えられています。クルマのテストのために、常時何十人もの人たちが、安全を極めている場所でもありました。
これだけのテストを経て販売されるクルマたち。この積み重ねが信頼へと繋がっていくのですね。